「AI担当者がいない」は珍しいことではない
中小企業基盤整備機構の「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)」では、AI・ITの導入や活用を推進する専任担当者がいる企業は3.0%でした。一方、特定の担当者を置かず、経営者や現場従業員が個別に進めている企業は85.9%です。
同じ調査では、AI導入後の運用課題として「運用担当者の負荷が重い」が29.1%、「従業員による活用が進まない」が28.9%となっています。
つまり、「AIを導入できるか」だけでなく、「導入した後に誰が持ち続けるのか」が実務上の問題になります。
社内AIの導入後に必要になる管理作業
社内文書を使うAIの場合、主に次のような作業が発生します。
- 新しいPDF・Excel・Wordなどの追加
- 古い資料の削除や最新版への差し替え
- 回答が不自然な質問の確認
- 参照範囲や利用者権限の見直し
- AIモデルや外部サービスの設定変更
- システムやライブラリのアップデート
- 障害や利用できない状態の確認
- 利用量やコストの確認
毎日専門技術が必要なわけではありません。ただ、誰も担当しないと、資料が古いままになったり、回答がおかしくても放置されたりしやすくなります。
公開レビューから見える、導入後に残りやすい5つの負担
社内AI・AIエージェント・チャットボットの公開レビューを見ると、製品ごとの違いはあるものの、導入後の課題には共通点があります。以下は特定製品の欠点を断定するものではなく、複数の利用者レビューや運用記録から見える「管理側で起こりやすい作業」を整理したものです。
1. 最初から期待どおりの回答になるとは限らない
法人向け生成AIサービスのレビューでは、利用初期に誤った案内が目立つ、専門的な内容では意図と異なる回答が出る、といった声があります。導入時には実際の質問で回答と出典を確認し、どこまでをAIに任せるか決める作業が必要です。
2. 資料を入れた後もメンテナンスが発生する
公開レビューには、URLや英字の読み取りミス、検索順位を調整するための言い換え登録、古い情報を含む文書の更新といった運用上の手間が挙げられています。RAGを実運用した開発者からも、文書の分割方法による回答品質のばらつきや、文書更新時の再処理負荷が課題として報告されています。
3. 「何から使うか」を決める必要がある
多機能なAIサービスほど、初心者にはどこから使い始めればよいか分かりにくいというレビューがあります。AIを導入すること自体ではなく、「就業規則を探す」「新人からの定型質問を減らす」など、最初の用途を絞る作業が必要です。
4. 利用状況を見ながら改善する作業が残る
管理者向けレビューでは、回答できなかった質問やAI回答の分析、会話ログの確認、改善前のテスト環境などを求める声があります。社内AIは公開した時点が完成ではなく、実際の質問を見ながら改善する運用が必要です。
5. 利用量・料金上限が心理的なブレーキになることがある
クレジットや利用量を気にしながら使うことが導入障壁になる、利用が増えるとランニング費用が予算を超えやすい、というレビューもあります。料金を見るときは月額だけでなく、質問上限、超過時の扱い、自動追加課金の有無まで確認した方が安全です。
共通しているのは「AIを契約する作業」より、「導入後に誰が回答品質・資料更新・利用状況・設定を持つか」の方が長く続くことです。
方法1:社内の担当者が自分で管理する
ITに詳しい社員がいる場合は、社内管理が最も自由です。利用するAI、検索方式、資料の整理方法なども自社で決められます。
向いている会社
- 情報システム担当や開発担当がいる
- AIやクラウドサービスの設定を自社で触れる
- 今後AI活用を広げるため、社内にノウハウを残したい
注意点
技術的に構築できても、その担当者の通常業務に「AI管理」が追加されます。属人化しないよう、設定・更新・障害対応の手順を残しておく必要があります。
方法2:セルフサービス型のAI SaaSを使う
社内文書をアップロードして質問できるSaaSを契約する方法です。サーバー構築などが不要なため、自社構築より始めやすいのが利点です。
向いている会社
- 初期設定や資料登録は自社でできる
- 標準機能の範囲で運用できる
- 社内でサービスの管理者を1人決められる
注意点
「SaaSだから管理不要」とは限りません。どの資料を入れるか、古い資料をどう扱うか、誰に使わせるか、回答がおかしいときに何を確認するか、といった業務側の管理は残ります。
方法3:構築と運用管理を外部に任せる
AI環境の構築だけでなく、設定・更新・基本的な保守管理まで外部に任せる方法です。社内では「何を答えられるようにしたいか」「どの資料が正しいか」といった業務判断に集中します。
向いている会社
- 専任IT担当者がいない
- AIのために新しく担当者を育成する余裕がない
- 社内資料はあるが、AI環境の構築・管理まではやりたくない
- フルスクラッチ開発ほど大きな予算はかけたくない
注意点
外部に任せても、会社独自のルールの正誤を外部業者だけで判断することはできません。「この規程が最新版」「この資料は全社員向け」といった業務上の判断は社内に残ります。
3つの方法を比較
| 方法 | 初期負担 | 運用負担 | 自由度 | 向く会社 |
|---|---|---|---|---|
| 自社で構築・管理 | 大きい | 大きい | 高い | 社内に技術担当がいる |
| セルフサービスSaaS | 小〜中 | 中 | 標準機能中心 | 社内で管理者を置ける |
| 構築・運用を外注 | 小さくしやすい | 小さくしやすい | 提供範囲による | 専任IT担当者を置きたくない |
「誰が管理するか」を決める5つの質問
- AIの設定を変更できる人は社内にいるか
- 資料追加や古い資料の整理を誰が行うか
- 回答がおかしいとき、誰が原因を確認するか
- サービスのアップデートや障害情報を誰が追うか
- 担当者が退職・異動した場合に引き継げるか
この5つにすぐ答えられない場合は、「AIツールを選ぶこと」より先に、運用方法を決めた方が導入後の負担を予測しやすくなります。
Nexfila AIが外に出すのは「AIの管理作業」
Nexfila AIは、15〜50名程度で専任IT担当者がいない会社を想定し、社内文書AIの構築・設定・保守管理をまとめて提供する先行導入サービスです。
社内に残していただくのは、「どの資料が正しいか」「誰に何を見せるか」といった会社側でしか判断できない部分です。AI環境そのものの設定・保守・基本管理はNexfila側で担当する設計です。
先行導入:初期55,000円(税込)+月額29,800円(税込)/月10,000質問・資料10GBまで/先行導入価格は契約開始から6か月間。
正式提供前のため、送信時点では契約・決済は発生しません。正式提供時には実利用状況や提供内容をもとにプラン・料金・利用上限を見直す場合があります。
参考資料
本記事で紹介した担当体制・運用課題の数値は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構「中小企業のAI等の利活用に係る実態調査(2026年3月)」を参照しています。
- ITreview「ChatSense」公開レビュー
- ITreview「RICOH Chatbot Service」公開レビュー
- ITreview「JAPAN AI AGENT」公開レビュー
- Qiita「ものしりAI」RAG本番運用の技術記録