結論:台帳は「現行版」と「改訂中」を別にし、関連資料の反映状況を追う
最初は共有フォルダとExcelで始めても構いません。最低限、図面番号・改訂番号・承認状態・適用開始の条件・原本の保管先・関連する仕様書や作業手順書を揃えます。さらに図面の変更が発生したら、製造・品質・購買などの関係部門へ渡ったかを別の記録で確認します。
新しい改訂番号が付いたことと、現場でその版を使ってよいことは同じではありません。たとえばR02が「確認中」であれば、R01が現在承認された版のままというケースがあります。誰が正式に使用を認めるかと、どの案件・製番・ロットから切り替えるかを明確にしてください。
この記事は図面の管理ルールを決めるための参考手順です。品質規格、契約上の変更通知、製造工程の停止・再開判断や法令への適合を保証しません。既存の設計変更手順、顧客指定の管理基準、承認権限がある場合は必ずそちらを優先してください。
無料ダウンロード:図面管理台帳と変更配布の確認表
小規模な運用を始めるためのCSVを2つ用意しました。Excelで開いてから .xlsx形式で保存すると、テーブル・フィルター・入力規則を追加できます。CSVそのものには数式・自動判定・通知機能はありません。すべて架空の記入例で、実在企業の図面情報は含んでいません。
図番・改訂番号・承認状態・適用条件・図面の保存先・関連するBOM/作業手順書/検査基準を記録します。
変更ごとに、関連文書と部門への通知、受領確認、旧版の扱いを記録します。
最初に決めたい図面台帳の項目
| 項目 | 何に使うか | 記入例 |
|---|---|---|
| 図面番号と改訂番号 | 同じ図面の版を区別する | DW-204/R02 |
| 承認状態 | 改訂中・承認済・廃止を区別 | 確認中 |
| 使用開始条件 | どの対象に適用するかを管理 | 新規製番から(確認待ち) |
| 原本保存先 | 参照すべきPDF/CADを特定する | 設計管理フォルダ/DW-204 |
| 関連資料 | 図面以外の更新漏れを防ぐ | BOM-21/WI-07/QC-04 |
| 承認者・確認日 | 使用可否の判断の根拠を残す | 設計責任者/未承認 |
図面のファイル名だけでは「この作業に使ってよいか」が分からないため、承認状態と適用対象を別の列に持たせます。同じ図番のR01とR02を履歴として残す場合は、改訂ごとに一行とし、現行採用版が分かる状態にします。
Excelと共有フォルダで管理する5ステップ
1. 現行図の保存場所を決め、図面番号を固定する
担当者のPCやメール添付が正本にならないよう、会社で管理する保存先を決めます。図面番号はその図面の識別子として固定し、改訂番号は別の属性として付与します。命名方法の一般原則はファイル名の命名規則でも説明しています。
2. 「最新版」を改訂番号の大きさだけで判断しない
R02が作成された直後でも、承認前であれば現場はR01を使用しているかもしれません。表では編集中・承認待ち・承認済・旧版などの状態と、実際に使う版を分けます。承認後にも案件によって旧版が適用されるなら、案件・製番・ロット単位の判断を品質担当者と調整します。
3. 図面と一緒に見直す資料を洗い出す
たとえば図面に記載した材質を変更したら、部品表(BOM)、材料手配、検査基準、作業手順書、仕様書、顧客説明資料のどこに影響するかを確認します。すべて必ず修正するという意味ではなく、影響なしと判断した資料にも確認者を残すのがポイントです。変更理由が不明な場合は、確定せず設計責任者へ確認します。
4. 関係部署への「送信」と「受領・切替確認」を分ける
営業や購買へ新しい図面をメールで送っただけでは、古いPDFが共有フォルダや印刷物に残っている可能性があります。配布記録に対象部門、通知日、受領確認、切替対象、旧版の保管・撤去を記録します。相手先への通知義務や生産停止の必要性は、担当者が品質規程と契約条件に照らして判断してください。
5. 旧版を履歴として残し、使用場所から分離する
旧図を無条件に削除すると、過去の製品や承認経緯を調べられなくなることがあります。一方、現行フォルダに旧図を並べると取り違えを招きます。閲覧権限、保管期間、ファイルの識別方法を社内で決めたうえで分離してください。文書管理台帳のExcelテンプレートでは図面以外の文書にも使える管理項目を説明しています。
具体例:図面R01からR02へ変えたときに何を確認する?
以下は架空の小規模製造業を想定した例で、実際の製品・顧客事例ではありません。図面DW-204で取付穴の位置を見直す提案が出たとします。
| 対象 | 改訂前/案 | 確認すること |
|---|---|---|
| 設計図面 | R01/R02確認中 | 設計責任者がR02を承認するまでは使用版を変えない |
| BOM・部材 | BOM-21 | 対象部品や手配済み部材への影響有無 |
| 製造の作業手順 | WI-07 | 加工・組立・治具の手順変更が必要か |
| 検査基準 | QC-04 | 検査位置・検査方法の変更有無 |
| 営業・外注先配布 | R01配布済み | R02の適用対象、通知先、受領確認、旧版の扱い |
この例では、R02の承認、関連資料の確認、適用開始条件、配布先の切替が揃った時点で、その対象への変更が完了したと判断します。設計変更による安全・品質上の懸念がある場合は、社内の停止・是正手順が優先です。
通常の図面管理台帳と、改訂時の確認表は役割が違う
図面管理台帳は「どの図面があり、現在どの版を使えるか」を探すための表です。改訂・配布確認表は「今回の変更が、どの資料と関係者に影響し、反映が済んだか」を記録します。同じ表に全部を1行で押し込むと、複数の配布先や改訂履歴を管理しにくくなります。
設計変更の要求から承認・適用までを扱うECR/ECO/ECNの用語や管理方式は企業により異なります。PTCの設計変更管理解説では、要求・指示・通知の違いを説明しています。今回のCSVは正式なPLM・品質管理システムや承認ワークフローを代替しません。
Excelで足りる場合・専用システムが必要な場合
図面数が少なく、改訂の頻度や関係部署も限定され、担当者が記録の更新を継続できるなら、まずExcelで運用する方法があります。複数人が同時編集する、案件やロットごとに適用版が異なる、承認履歴・監査・配布通知が重要な場合はPDM/PLMや正式な文書管理システムを検討してください。図面の数だけで一律に移行要否を決めることはできません。
営業や品質の担当者が、登録済みの仕様書・作業手順書・説明資料に書かれた内容を繰り返し探す場合、自然文で出典付きの回答を探せる社内ナレッジAIも役立つ可能性があります。ただし、CADデータの構造認識、図面の類似画像検索、図番の自動採番、製番別の正式版判定、承認・変更通知の自動化は別の機能です。
Nexfila AIに向いているのは、図面を管理した後の「資料を探す質問」
Nexfila AIはPDF・Excel・Wordなどの社内資料を登録して、社員が自然文で質問し、出典を確認しながら答えを探すサービスです。AI基盤の標準設定・保守・アップデートをNexfila側が担当します。先行導入の案内は会社単位月額14,800円(税込)、利用開始日から30日間無料、月5,000質問・資料5GBです。
一方、図面の承認、適用対象の確定、顧客への正式通知、CADの変更履歴管理、関連するBOMとの自動照合、現場の使用可否の保証はNexfila AIの標準機能ではありません。これらを必要とする会社には専用のPDM/PLMや品質管理の仕組みが適しています。自社資料への質問で使う場合も、古い版や未承認の資料を検索対象に入れるかは利用企業が判断し、回答元の出典を確認してください。
よくある質問
図面管理はExcelと共有フォルダだけで始められますか?
小規模で管理ルールを運用できるなら始められます。図面番号、改訂番号、承認状態、適用条件、原本の保存先と関連文書を揃え、変更が関係者へ伝わったかを別に確認してください。
改訂番号が一番大きい図面が最新版ですか?
必ずしも使用可能な現行版とは限りません。承認前のR02が存在し、特定の案件ではR01が使用されている場合もあります。適用範囲と承認状態を確認してください。
図面の変更があるたびに仕様書や作業手順書を更新すべきですか?
変更内容によって影響が異なります。対象文書を洗い出し、更新要否を責任者が判断し、影響なしの場合も確認履歴を残す方法があります。
AIに図面を登録すれば、承認済みの最新版を自動判定できますか?
自動判定を保証できません。図面の承認・適用対象の管理と、説明資料を自然文で検索することは分けて考えましょう。CADファイルの自動管理もNexfila AIの標準提供範囲ではありません。
設備の故障履歴にも応用:発生日だけでなく、症状・確認済みの原因・参照した保全資料を紐付ける設備故障履歴のExcel管理と検索ガイドも参考にしてください。
製造業の過去トラ集を作る場合:設備1台の履歴や図面改訂とは別に、工程や製品を横断して不具合事例を探す過去トラ集の作り方と無料CSVを公開しました。
参考資料と関連記事
- PTC:設計変更管理とECR・ECO・ECN
- 経済産業省:2026年版ものづくり白書
- Scribe:標準手順書の更新・担当者・監査の考え方(英語)
- マニュアルの改訂履歴と旧版管理
- 商品仕様の問い合わせを社内資料検索で減らす方法
公開情報と仮の記入例をもとに構成した一般向けガイドです。特定工場の運用結果や製造品質の改善実績を示すものではありません。